メキシコ料理が織りなす多様な昆虫料理

マヤ、アステカ文明をバッググラウンドに持つメキシコ料理は、食文化が非常に豊かです。紀元前1000年から16世紀まで続いた文明が生み出した食文化は多様性に富んでおり、昆虫も食材として取り入れてきました。栄養価が高く、種類の多い昆虫はメキシコ料理に広く取り入れられ、一説には500種類もあるとのこと。以前は少数民族の伝統食材、ローカルな食材という扱いでしたが、昨今のスーパーフードの流れで人気が上昇し、一般的に食べられています。代表的な昆虫料理をご紹介します。

グサーノ・デ・マゲイ(メスカル・ワーム)

英語でメスカル・ワームと呼ばれるこの虫は、テキーラの原料であるリュウゼツランに住むイモムシです。メキシコ南部でよく食べられますが、リュウゼツラン1株から数匹しか採れないため、希少な食材として有名です。油であげたり、すりつぶしてソースに入れたりして食べられています。

エスカモーレ(アリの幼虫)

メキシコ中部で多く食べられるムシです。アステカ族の間では、ムシのキャビアとして扱われ、現在も非常に高価な食材とされています。少しナッツのような味わいが人気で、タコスやオムレツなどに入れて食べられています。

グリージョ(コオロギ)

バッタやコオロギといった種類の昆虫は、たんぱく源として昔から食用されています。大きさは米粒から大型まで様々です。コオロギは最も食べられている食材の1つで、市場や屋台でスナック菓子のように販売されています。メキシコの居酒屋ではおつまみとして提供されることも。

アラクラン(サソリ)

タコスやおつまみとして食べられるサソリは、メキシコ中部ドゥランゴ州で生まれた食材。乾燥した暑い地域に多く生息するサソリをカリカリになるまで油で揚げます。毒を持つムシですから、食べる前に毒を除去する作業を行っています。