インドネシアは、長年にわたり日本企業にとって重要なビジネスパートナーの一つとして注目されてきました。そんな中、2025年3月にOECD(経済協力開発機構)が発表した経済予測によると、同国の2025年の経済成長率見通しが5.2%から4.9%へと引き下げられました。
この数字の変化だけを見れば、「経済の勢いが鈍ってきているのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、背景には世界経済全体の不安定さがあり、特に中国経済の減速や欧米の高金利政策など、インドネシアだけに起因するものではありません。また、国内でも物価上昇や金利の影響で消費がやや抑えられ、企業の投資も慎重になっているという事情があります。
それでも、インドネシア経済の「地力」は依然として高いと見られています。2億8,000万人近い人口を抱え、若年層が多いという特長は、今後も内需の成長が見込める大きな強みです。また、政府はインフラ整備やデジタル化を積極的に進めており、これらの動きが中長期的な経済成長を下支えしていくと期待されています。
日本の中小企業にとって、こうしたインドネシアの動向はチャンスにもなり得ます。たとえば、現地の中間層をターゲットにした製品やサービス、環境に配慮した技術、あるいは人材育成に関するソリューションなどは、今後ますますニーズが高まる分野です。すでに現地で活動している企業だけでなく、新たに海外展開を考えている中小企業にとっても、インドネシアは「狙いどころ」を見極めれば十分に勝機がある市場です。
もちろん、為替リスクや制度面での違いなど注意すべき点もあります。しかし、これらは信頼できる現地パートナーや支援機関を活用することでリスクを抑えつつ進出することが可能です。
短期的な経済成長率の数字に一喜一憂するよりも、インドネシアの構造的な成長ポテンシャルと、それに対して自社の強みがどう活かせるかを考えることが、今後の海外ビジネス成功のカギになるはずです。
参考記事: Kompas.com – OECD Turunkan Proyeksi Pertumbuhan Ekonomi Indonesia Jadi 4,9 Persen pada 2025