Bean to Barベトナム産Marou(マルゥ)チョコレート

チョコレート通の人ならホーチミン市に行った時にMarou chocolate を買ったのではないでしょうか。
マルゥを検索すると10種類程のダークチョコ(板チョコ)が綺麗な金箔に包まれ金箔の上はマルゥのデザインで包装された製品を目にします。お店はベンタイン市場近くに立地しMaison Marou Saigon(メゾン・マルゥ・サイゴン)とお洒落な名前です。メゾン店内にはダークチョコの物販コーナーとケーキとお茶を堪能できるカフェコーナーもあります。

価格は、板チョコ標準サイズ(80グラム)で600円、5枚セットで3,000円とかなり高いですが、あのニューヨーク・タイムズも絶賛したマルゥチョコの味。そのマルゥチョコはどのように作られているのでしょうか。

マルゥチョコを紹介する前に、チョコレートの原材料と生産工程(サプライチェーン)を簡単に知っておきましょう。
原材料である世界のカカオ生産はアフリカ西海岸と南米に集中しています。カカオの木は高度30~300m、平均気温29度以上、降水量1,000mm以上の通称カカオベルトで育成され、同じ生産国でも生産地の土壌・気象・地形によってカカオ豆を発酵させる段階で風味(酸味、甘味、香り)が絶妙に異なるのでカカオを育てる土地はチョコレートの命と言っても過言でありません。
生産工程は長く、収穫(カカオ実から豆を取り出す→バナナ葉に包み発酵させる→乾燥→貯蔵)、加工(焙煎→皮の除去→すりつぶし)、製品化の3段階で、世界のチョコレートメーカーは貯蔵後の麻袋に詰められた豆を輸入し、加工と製品化を経てチョコレートを作ります。

近年、生産国における収穫段階での児童労働の回避、カカオ豆市況に左右されるカカオ農家収入への配慮等に関しメーカーはどれだけ努力(traceability 等)を行っているか評価されています。あの高級チョコで知れ渡るGodivaは評価点が低かったのです(2020年)。

さて、マルゥチョコの基本姿勢はどうなのでしょうか。
2011年に二人のフランス人によって起業され創始者はチョコ生産過程に係る世界の課題を充分に認識していました。マルゥの特徴は生産過程の一括管理(Bean to Bar)に象徴されます。先ず、ベトナムのカカオベルト南部6省(バリアブンタオ省等)の特定、Terroir(フランス語で土壌・地形)へのこだわりで同じ生産地の豆でチョコを作る(生産地ごとにチョコは異なる)、カカオ豆市況に左右されない農家への安定代金支払い、バニラ/香料を一切使用しない等で、Bean to Barが徹底されています。
ESG、SDGsの目的にも適っており、Mekong Equity Fundはマルゥに出資する声明を公表しました。Bean to Barは一つの企業戦略でこれからの時代ニーズにマッチするのかもしれません。

「Marou Home Page」、「Viet Joe April 2, 2021」を参考に編集・制作