フードデリバリー

新型コロナウイルスの影響で外出・外食控えが続いている中、日本では出前館やウーバーイーツといったフードデリバリーサービスが一気に広まってきていますが、諸外国では日本より早くこうしたサービスが普及しており、東南アジアにおける同市場も、過去10年間で大幅に成長しています。また、様々な市場がダメージを受ける中、このように急成長している市場も珍しく、各国・地域でグローバルプレイヤーとローカルプレーヤーの競争が激化しています。

東南アジアにおけるフードデリバリー市場は、2019年から2020年にかけて183%成長しており、2020年末までには流通取引総額で119億ドルに達すると推定されています。こうした成長は、新型コロナウイルスの影響で一気に進展したデジタル化の動きと消費者行動・マインドの変化に支えられているが、ワクチン等でウイルスの影響が制圧されたとしてもある程度は続いていくものと考えられます。

東南アジアのキープレイヤーはシンガポールを本拠地として東南アジア各国で主にタクシー配車・予約サービスを展開する「グラブ(Grab)」で、推定流通取引総額は59億ドル。これは同地域全体の流通取引総額の約半分を占めており、2020年には東南アジア6カ国のうち5カ国で市場をリードする結果となりました。

この残り1カ国、グラブが唯一リード出来なかった国がベトナムです。

ベトナムは、東南アジアの中ではまだ比較的規模が小さいですが、それでも2020年末時点で7億ドルもの市場があり、急成長を続けています。ここで市場をリードしたのが、ローカルプレイヤ-の「ナウ(Now)」で、2020年の流通取引総額は3億ドルで、僅差でグラブを抑える形となりました。

また、ベトナムでのこうした動きは、フードデリバリーに留まりません。オンライン通販、タクシー手配等も含めたデジタル・エコノミー市場は、2020年には前年比16%増の140億ドルに成長し、2025年には520億ドルにも達すると報告されています。

ここで注目されるのは、シンガポールを拠点とするSeaグループが所有する「ショッピー(Shopee)」です。無料配送や低手数料等のマーケティングを駆使し、ベトナムでは最も人気のあるeコマースプラットフォームとなっています。新型コロナウイルスの影響の下でも成長を続け、2020年の第3四半期にベトナムで月間6,200万人のアクセスを集め、前年同期比で80%以上の増加を記録しました。

参照:https://shopee.vn

ベトナムでは、ショッピーの他にも「The Gioi Di Dong」、「Tiki」、「Lazada」などのサイトも月間数千万のアクセスを誇っており、今後も競争の激化が予想されます。

新型コロナウイルスの影響が収まった後も、こうしたオンライン・デジタルマーケットの活用がベトナムでも拡大を続けることは間違いありません。