水揚げしたエビ

ベトナムの食品産業において、重要な地位を占めるのがエビ養殖産業です。日本にとってベトナムはトップクラスのエビ供給国で、2019年には3.1万㌧のエビを輸入しています。輸入先国第1位であるインドが3.8万㌧ですから、かなりのシェアを占めていることが分かります。

  • エビ養殖に日本企業が食い込む

2019年5月には、三井物産(株)が、ベトナム最大のエビ精算加工事業会社であるMinh Phu Seafood Joint Stock Company(ミン・フー社)に出資参画することを発表しました。ミン・フー社は、ベトナムにおけるエビ製品輸出量の約15%を製造・輸出している企業で、養殖から加工・販売まで、一貫して取り組んでいる製造メーカーです。

そして、2021年1月8日にマルハニチロが、Sai Gon Food Joint Stock Company(サイゴン・フード社)の株式57.9%を取得し、子会社化することを発表しました。サイゴン・フード社は水産加工、冷凍食品などを手がける大手ブランドの1つで、日本市場向けの水産加工品の製造委託先として取引を開始します。

  • 世界へ躍進するベトナムのエビ養殖産業

2021年1月5日、ホーチミンから更に南へ下ったハウザン省にて、今年最初のエビ160トンを海外へ輸出する式典が開催されました。ハイエンドマーケットをターゲットとした製品であり、欧州各国、米国、日本の市場に向けて輸出されることが決まっています。

ベトナムは、CPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)やEVFTA(EUベトナム自由貿易協定)、RCEP(地域的な包括的経済連携協定)など、16の自由貿易協定で交渉及び署名をしており、積極的な輸出振興政策を進めています。

輸出式典では、PhungDuc Tien副大臣が、コロナ禍の複雑な状況にも関わらず、エビ産業は以前として経済的に伸びており、2021年のエビ輸出は、2020年と比較して15%増、44億米ドルに達すると発表しています。

ベトナム産エビは生産コストが低いため、インド産エビと比較して価格競争力が高く、日本への最大エビ輸出国と自負しています。二国間自由貿易協定が締結されているため、今後も積極的な輸出拡大を図ることが予測されます。

  • ベトナムのエビ養殖の基礎知識

ベトナムではメコン川流域を中心に720,000平米の土地でエビの養殖を行っています。世界中のエビ養殖産業で養殖されるエビの種類は、ブラックタイガーエビかバナメイエビの2種類です。生産のしやすさから世界的にバナメイエビの養殖が増加していますが、ベトナムはブラックタイガーの最大供給国でもあります。

水産品の輸出量の約40%がエビであり、欧州、米国、日本、中国、韓国、カナダ、オーストラリア、ASEAN諸国、台湾、スイスが主要な輸入国となっています。

*国際連合食糧農業機関レポートから一部参照

  • まとめ

いかがでしたでしょうか。エビ養殖産業はベトナムが世界に誇る産業です。ベトナムの食品産業を知る上ではかかせない業界ですので、ぜひ参考にしてください。